大判例

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札幌高等裁判所 昭和26年(う)140号・昭26年(う)142号・昭26年(う)144号・昭26年(う)141号・昭26年(う)143号・昭26年(う)145号 判決

共同被告人は他の共同被告人に対して本来第三者であり、従つて証人たりうるのであるが、共同被告人として併合審理を受ける関係上黙秘権が認められているので、この権利と相容れない供述義務を課することはその被告人たる地位を沒却するに至るものであるから、共同被告人は共同被告人たる限り、換言すれば弁論の分離されない限り、他の共同被告人に関する事項についても証人たる資格がないものといわなければならない。それと共に、弁論が分離されて他の共同被告人との間に共同被告人たる関係がなくなつた暁には、他の共同被告人に関する事項について証人たる資格を有することとなるのであつて、その証言の内容が自己の被告事件に関する事項であると否とを問わないのである。かう解すると、その共同被告人は弁論の分離という裁判所の処置によつて黙秘権を奪われる結果を生ずるようであるが、刑事訴訟は一面において、証人に対し自己が有罪判決を受ける虞のある証言を拒む権利を認めているので(第一四六条)結局被告人の地位はこれによつて確保されているのである。

さて、かように考えると、次に起る問題は、検察官は、本件にあつたように、裁判所が弁論を分離する以前に、共同被告人に関する公訴事実を立証するため他の共同被告人を証人として尋問することを請求しうるかどうかということである。以上述べたところによると、弁論の分離前においては共同被告人は他の共同被告人に関する事項について証人たる資格がないのであるから、検察官は、裁判所が弁論を分離した後でなければ、かようの請求をすることができないもののようである。しかしながら、裁判所が弁論を分離した上共同被告人であつた者を証人として取り調べることは、以上述べたところによつて適法であることは明らかであるから、本件におけるように、検察官が弁論の分離前に共同被告人を他の共同被告人に関する事項について証人として尋問することを請求した場合、裁判所が検察官の右請求を却下しないで、弁論を分離した上証人として尋問をする旨を決定し、その後弁論を分離して共同被告人であつた者を証人として取り調べるのは適法であつて、従つてその証言を当該被告人に関する公訴事実を認定する資料に供することができるものと解するのを相当とする。

(註。本件の破棄理由は量刑不当。)

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